MUSIC WORLD BY MASANORI KATOH
 
奇人の作り方
 

閉じる




 

<回顧録> 奇人の作り方=第3節

隣駅の音楽教室に通いました。
確か土曜日の午後。
最初の先生は女性で優しい30歳前後の先生でした。だけれど、始めて数ヶ月でお産だか結婚だかで、辞められてしまいました。
その後に来た先生は短大出の若い女の先生。
これまたとても優しく、美しい人という印象を持ったのを覚えています。
レッスンの終わり10分くらいで音楽ノートを出して音符の書き方など、楽典の入り口みたいなことをさせられ、宿題も出されました。
僕はこれにあまり興味がなかった。大体宿題が好きではなかった。
一日のほとんどを拘束されて、勉強やら何やらやらされているのに、それ以外の僕の自由な時間を占領する『宿題』!本当にこれが嫌いだった。

幼なじみと遊んでいた時、僕はさらなる仲良しになる為に言ってみた。
「音符書いてみよ!上手に書ける?」
?俺たち音楽の会話もできるんだもんな!?
このしょうもない優越感は、何の役にもたたなかったけれど、これが僕の作曲のスタートだったのです。
昨日習った音符の書き方を、さもはるか昔から知っていたかのように、適当に書いた私。
気付けばそれはピアノで弾く事ができるのだった。
もちろん音楽になんてなっていないけれど、全音符のドだからドを4拍のばすとか、8分音符を並べて、ぼくちゃん練習曲と名付けたり。
さらさらっと五線紙に書いた、適当音符達がピアノで音になって現れるのが面白かったのです。

こんなこと書いたらどうなる??
左手の音符も書いたらどうなる??
無限に広がるその音の現象は、僕を虜にしました。