MUSIC WORLD BY MASANORI KATOH
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オペラ 白虎 1:予備知識として

 時は江戸時代も終わり。
 黒船が来航し、異国への憧憬と時代の変革の波が次第に高まってきた頃、会津藩主、松平容保(かたもり)の下に幕府より京都守護職の命が下りました。京都守護職とは言わば朝廷の監視とともに、すでに幕府に対しての抵抗勢力が力を増し、かなり乱れていた京都の治安回復の役目でした。幕府の栄光の陰りは、最早そこまで深刻だったのです。会津藩の老中、西郷頼母(たのも)は時勢を読む力に優れ、松平が守護職を引き受けるのを家臣としてただ一人辞めるよう進言したのです。(続きを読む)

2:あらすじ(1幕)

1幕1場
昭和の初め、白虎隊のただ一人の生き残りである飯沼貞雄(貞吉)は、飯盛山で剣舞を見つめている。この剣舞は自刃の様子を舞い、奉納として行われている。日新館の教えである「什の掟」を唱える声が聞こえ、白虎の辞世の句も聞こえる。(続きを読む)

3:あらすじ(2幕)

2幕1場
貞吉は自問自答している。
死すことは本当に人の道であるのか。
想像の中で、叔父頼母との問答を繰り返す。
「生きよ」という頼母。「潔く死ぬのが武士(もののふ)の道だ」と心で叫ぶ貞吉。
けたたましい鐘の音で我に返り、戦場へと急ぐ貞吉。
(続きを読む)

4:鑑賞のポイント

1:オペラの時間軸
時間軸の扱いに特徴があります。
1幕の最初は昭和の初め、白虎の唯一の生き残り飯沼貞雄の登場から始まります。
彼は生き残った事へ自問自答を繰り返しながら、複雑な想いを抱いて生きてきました。(続きを読む)


5:オペラ「白虎」 初演鑑賞ガイド
 白虎の歴史的背景、オペラのあらすじを書いてきましたが、初演を鑑賞する上で、演出の意図など、舞台の事に関して、何となく全体の流れを把握しているとよりオペラが味わえるのではないかと思います。
 何しろ演出も相当に練り込まれ、考えられたすばらしいものですので。
 僕自身が稽古を見学しながらその深さに感激しています。
 白虎について知り、あらすじを見た皆様へ、鑑賞ガイドでございます。 (続きを読む)


6:オペラ「白虎」 後記
 そもそも僕は歌が嫌いだったし、声楽にも、オペラにも、何の興味もなかった。あれだけマーラーが好きでハマっていたにも関わらず、声は単に効果的な楽器の一つとしか思っていなかった。
 それが大学院で宮本益光という同級生を紹介され、声楽のための新作を書く機会を得た。彼は知っているが僕はこれにたまらなく興味がなかった。
 でも変なプライドも持っていたから恥ずかしい歌曲は書きたくないし、新作展で並ぶ作品達のなかで目立ちたいという野心もあった。(続きを読む)

 

 






 

奇人の作り方 第1節